PTSD(心的外傷後ストレス障害)の患者さんが、近年増えてきて、当院でも受診される方が多くなっています。
一方で、トラウマになるようなストレスがあっても、それをきっかけにして、かえって人間的に成長するケースもあります。これを、PTG(心的外傷後成長)と呼んでいます。「艱難(かんなん)汝を玉にす」ということわざ通りなのです。
PTGに関しておすすめの書籍が、スティーヴン・ジョゼフ『トラウマ後成長と回復』(筑摩書房)です。
本書では、PTGになるための3つのポイントをあげています。
・人生は不確かなものであり、すべては変化するという認識を持つこと。
・マインドフルネス、今、この瞬間に注意を集中すること。
・自らが人生の担い手であると認めること。
となっています。
一つ目は、仏教の「諸行無常(しょぎょうむじょう)」に通じ、二つ目は、持ち越し苦労をしないこと、三つ目は、自己責任の姿勢を表しています。ある意味、とても宗教的なポイントだと思います。
トラウマ後 成長と回復―心の傷を超えるための6つのステップ (筑摩選書)/筑摩書房
溝の口精神科・心療内科医が教える:うつ病予防のためのヒント