科学者たちの真理の探究が続いていますが、その最たるものが「あの世の証明」です。科学の中には医学も入っていて、私の専門とするところですが、今回は、数学と物理学からのアプローチです。
最近読んで参考になったのが、三田一郎『科学者はなぜ神を信じるか』(講談社)です。
著者は、素粒子物理学の専門家(名古屋大学名誉教授)でもありますが、カトリックの助祭でもあるという異色の経歴を持っていて、これまでの物理学の発展についてとても分かりやすく解説しています。それも、物理学者たちの信仰心についても触れているのが刮目です。
特に勉強になったのが、スティーブン・ホーキングに関する解説でした。彼は先日亡くなった有名な宇宙理論物理学者ですが、無神論者、唯物論者としても有名でした。
彼が唱えた宇宙の始まりはなかったとする「宇宙無境界仮説」は、アンシュタイン方程式に「虚数時間」を導入して編み出されたとのことです(pp.234-237)。
数学の定義では、この虚数はこの世に存在しないものです。ホーキングは自分を唯物論者として公言しながらも、自分の業績が「あの世の証明」の一部になっていたというのは“皮肉”な結果です。
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