社交不安障害(SAD)と言う病名があります。極度の対人緊張のため、「スピーチ恐怖」、「視線恐怖」、「赤面恐怖」などの症状が現れます。
人には、それぞれ「社交的性格」と「非社交的性格」があって、一般には社交的性格の方が、社会生活では有利であると思われています。しかし、本当にそうであるかどうかは検証しなくてはなりません。信じてもらえなえかもしれませんが、かくいう私もどちらかと言えば、もともと非社交的人間なのです。
そこで参考になる書籍が、スーザン・ケイン「内向型人間の時代」(講談社)です。
本書では、さまざまな事例を取り上げて、内向的人間こそ、社会的影響力があるのだと主張しているのです。
たとえば、
・すぐれた音楽家たちはーたとえ集団で演奏するものであってもー個人練習が本当の練習であり、集団でのセッションは「楽しみ」だと表現する。
・チェスの世界でも「一人で真剣に学ぶこと」がプロのチェスプレーヤーになるスキルを得るかどうかの指針になる。グランドマスターは一般に、修業時代の10年間に5000時間という途方もない時間をひとりで差し手の研究をするために費やすー中級レベルのプレーヤーの約5倍にものぼる時間だ。
・内向型は外向型より注意深く考える。外向型はより安直なやり方で問題解決を図り、正確さは二の次なので、作業が進むほどに間違いが増え、問題が難しくて自分の手には負えないと挫折感を抱くと、全てを投げ出してしまう傾向がある。
などなど、です。
このように、「自分は、非社交的で内向型人間だ」と悩む必要はないのです。それぞれの個性を花咲かせることで、人生の成功をつかみ取っていけるのです!単に人まねするのではなく、自分の個性を発揮することこそ、ポジティブ心理学の中核信念です。
内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力/講談社
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