当院では、「自分に自信を持つことでハッピーになる」ポジティブ心理学をベースに心理療法をしていますが、最近研究が進んでいる
「利他学」によると、
自分に自信を持つことで他人の役に立つことも分かっています。
そこでお勧めなのが、
若松英輔『はじめての利他学』(NHK出版)です。
本書では、古今東西の思想を紹介しながら、分かりやすく「利他学」について解説しています。
たとえば、
・西洋思想において、「利他」にあたる言葉は、altruismといいます。19世紀フランスの哲学者オーギュスト・コント(1798-1857)によって提唱されました。・・・(中略)・・・「利他」の哲学において、
東洋は西洋に1000年、先んじていたといえそうです。
・806年、空海32歳のときに記した『請来目録』に「利他」」という言葉が記されています。・・・(中略)・・・仏教は、
自利利他という「二利」に尽きる、・・・(中略)・・・「自利利他」が一つになるとき、自利も利他も同時に成就される、というのです。
・自分を抜きにした愛は、真の利他にはつながりません。
「自分を愛する」ということ、つまり「自利利他」の自利の地平が忘れられているからです。
などなど、「自分に自信を持つ(愛する)ことと他人に役に立つことが
不即不離である」ことがよく分かります。
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