気分障害
うつ病
うつ病(鬱)は、「ガソリンが切れかかっている車」にたとえられ、
心のエネルギーが枯渇(こかつ)した状態です。
現在、35人から50人に1人、生涯の間には15人から7人に1人がうつ病にかかると報告されています。
ストレス社会に生きている私たちにとって、うつ病は誰にでもなりうる心の病で異常なことではありません。大切なのは、心身の症状を素直に受け止め、それがいったい何を意味しているのかを考えてみることです。
その教訓が、次の成功、将来の成長の「肥やし」になることが少なくありません。
うつ病にかかりやすい病前性格は:
メランコリー親和型(秩序を愛する、几帳面、律儀、生真面目、融通が利かないなど)、執着性格(仕事熱心、几帳面、責任感が強い)などがあります。
その他うつ病に該当する気分障害 |
気分変調性障害(抑うつ神経症):
適応障害: |
うつ病時の症状 |
抑うつ気分、興味や喜びの喪失、気力の減退、易疲労感、物忘れ、集中力低下、 自信喪失、自責感、自殺念慮、希死念慮、自殺企図、食欲不振(あるいは増加)、 不眠(あるいは過眠)など |
当院におけるうつ病の治療
まず、薬物療法で精神的余裕をつくり、それから心理療法により心理・社会的問題を整理していくという経過を取ります。
うつ状態になると脳内のセロトニン、アドレナリンなどの神経伝達物質が不足すると想定されています。、薬物療法では、それらの物質の脳内分泌を促進させるため、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)等の世界の第一選択薬を用い、状態改善を行います。
そのほかにも、うつ度を測るための心理テストなどを用意しています。
抑うつ度テスト |
抑うつ度テストには、CES-D、BDI、SDSなどが主要な心理テストです。 HSCでは抑うつ度テストにCES-Dを用います。 |
躁うつ、双極性障害
躁うつ(そううつ)は、「双極性障害(そうきょくせいしょうがい)」または「双極性感情障害」とも言われ、自分ではコントロールしがたい“ハイ”な状態、いわゆる躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患です。
うつ病にくらべ、病因に遺伝子がかかわっていることがわかっていますが、ストレスを契機として発症することが多く、ストレス対処がうまい人は、たとえ遺伝的な体質を持っていても、躁うつ病にかかりにくいと考えられます。
躁うつになりやすい方の傾向としては、社交的で親切、温厚だが、その反面優柔不断である為、決断力が弱い方が多く発症していると考えられています。
症状例としては、躁(そう)状態では、持続的(少なくとも1週間は続く)で異常な気分の高揚、 自尊心の肥大・誇大(自分は何でもできると気が大きくなる)、多弁、不眠、
注意散漫、観念奔逸(くだらない考えが、次から次へと浮かんでくる)、
制御のきかない買い物、性的無分別、無謀な資金投資などがあげられます。
うつ状態は上記の症状を参照してください。
躁うつ病の治療
うつ状態では、SSRIやSNRIなどの抗うつ薬、
躁状態では、鎮静作用が強い抗精神薬を用います。
また、予防には、リチウム塩や抗てんかん薬(バルプロ酸、カルバマゼピン)
などの気分安定剤を内服します。
当院におけるうつ病の治療
気分の波には、必ずカラクリがあります。
世界標準の薬物療法に加え、当院では、カウンセリングや集団心理療法により
そのカラクリを自己分析できるようサポートいたします。